ふくろう通信2001-11 本格的な冬を迎える前に、インフルエンザの患者さんが訪れるようになりました。インフルエンザAもBも15分ほどで証明できる検査キットが実用化され、早期に使用すれば有効な薬もあり、この数年でインフルエンザ治療もずいぶんと様相が変わりました。あまり変わらないのが嘔吐下痢症などの「おなかのカゼ」。脱水を起さないように、上手に水分を与える工夫が必要です。手洗いとうがいを励行しましょう。 「こどもの病気の診かたと看かた(61)受験生のかぜ対策」 受験生にとっては、高校受験でも大学受験でもこれからが正念場です。いくら成績が急上昇しても、土壇場でカゼなどひいては苦労も水の泡。本番直前でインフルエンザなど高熱の病気にかかると大変です。 まず、初詣や合格祈願の参詣などに本人は行かないこと。 そして無事合格できたら、今度は是非ご本人が「願ほどき」のお礼参りをしてください。お父さんお母さんが吊るしてくれた絵馬を見つけたら、そっと「ありがとう」と書きこみましょう。帰りにはあのお餅も買って。インフルエンザに対しては、忘れずに予防接種を受けておきましょう。それぞれの受験生が所期の目的を達成できますように祈っております。 「こどもの病気の診かたと看かた(62)吐き気への水分補給」 お子さんが突然グエっと吐いて、ぐったりしたら誰でもあわてますよね。「かぜ(感冒)」は、呼吸器だけとは限りません。 吐くと胃液や胆汁(たんじゅう)がでますので、かなり塩分を失います。体から急に水分や塩分が減りますと、からだはその分だけ要求します。つまり、吐いた後は、非常にのどが乾くのです。 そこで吐いた後にアルカリイオン水の瓶を持たせると、こどもさんはのどの乾きにまかせて、「イッキ飲み」をします。 胃袋に大量の水分が流れ込みますと、胃袋はギュっと収縮して、内容を次へ送りこもうとします。ところで、胃袋の奥はもともと通過しにくい場所で、逆に胃袋の入り口はゆるい場所です。おまけにおなかのかぜでは、胃袋の奥はほとんど交通止めになります。 そういうわけで、からだは水分をたくさん欲しがっているのに、胃袋は受け付けにくい、そして奥へ届きにくい、そういう状況なのです。 飲んだ分だけがバックならまだましですが、飲んだ分プラス胃液や胆汁も出てゆきます。それでさらにぐったり。 これに下痢が加わると脱水はさらに加速度的に進行します。 どのように水分を与えるかというと、本当は半日くらい水分を完全に絶つのが良いのですが、それは一応診察を受けてからの方が良いでしょう。 実際には、本人のゲンコツの半分くらいの水分を30分毎に、しかもチビリチビリと飲ませます。飲めたからといって、あわてて追加しない。また欲しがっても本人に瓶を持たせない。保護者が与えてください。 末期の水で、仏様の唇を湿らすように、わずかずつ時間をかけて。 30分ずつ数回くりかえして与えても吐かなくなったら、1回の量を少しだけ増やすか与える間隔を短くしてみます。いろいろ工夫してください。吐き気を抑える座薬がお手もとにあれば使用してみて構いません。 もっとも、受診時にすでにぐったりしているお子さんには点滴をします。夜間でもぐったりしていたら、急患センターなどを受診してください。 【あとがき】11月は勉強会などで不在のことが多く、ご迷惑をおかけしましたが、その成果はいずれ診療の場で還元していきたいと思います。インフルエンザが大流行しないように祈っております。なるべく人混みを避け、予防にご注意ください。 発行:(医)一木こどもクリニック (責任者 一木貞徳) 2001.10.30:宗像市大字東郷394 TEL 0940-36-0880 |
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