くろ通信00-12

一木こどもクリニック便り 西暦2002年12月(通算72号)

大相撲九州場所は上位4力士がケガで欠場する中、モンゴル出身力士の優勝で千秋楽。体格が巨大化して問題がおきるのなら、白亜紀の恐竜と似て今や大相撲は絶滅寸前?チャンコ鍋よりジンギスカン鍋の方が、敏捷な子どもに育つ効果も高いようですね。
「こどもの病気の診かたと看かた(93)こどもの不適応行動」
11月8日に宮本信也先生(筑波大学心身障害学系教授、小児科医)の講演『不適応行動をくり返す子どもたちの理解と対応』を聞いて考えたこと。
生徒A  「うえーん、B君がいきなりぼくをどついたあ、うえーん」
大人X  「B君、何でそげんことするとね、ちゃんとA君に謝りなさい」
生徒B  「??(なぜ叱られているのか、まるで分っていない)」
大人X 「なんで謝らんとね、なんで無視するとね、君はいつもそうやね」
どこでも見られる光景ですが、このような子ども同士の衝突場面に大人が介入するときには、一見不可解な子どもの行動の、裏側を理解しようと努めることが必要です。例えば上のケースでは、
生徒B〈あっ、トンボだ〉と、トンボを捕まえようとそのまま前に飛び出して、たまたま前に居たA君に当たり、A君が転んでしまった。
だけなのかも知れず、B君が叱られる理由を理解できないのも当然です。
「なぜか」ではなく「本当は何をしたかったの?」と問うべきでしょう。
大人Y 「B君がぶつかって、A君泣いているけど、ぶつかるつもりはなかったんだよね。あの時B君、本当は何がしたかったの?」
生徒B 「ブーンってね、トンボが飛びよったと。あれ捕まえたかったと」
大人Y 「じゃあ、この次トンボ捕まえようと思ったとき、どんなことに
注意したらいい?いきなり飛び出たら、人にぶつかるよね」
こういう対話を積み重ねていくと、B君は少しずつ周囲の状況を判断して行動することが可能となっていくでしょう。不適応行動をくり返す子どもだけでなく、どの子どもに対しても有用な対応であるはずです。
こどもたちと関わるときには、「なぜ・どうして」ではなく、「どのようにしたいのか」を問う習慣が大人の側に必要とされているのでしょう。
「こどもの病気の診かたと看かた(94)新型インフルエンザ」
インフルエンザウイルスは、表面に固有の札(注参照)を持っています。

Aソ連型(H1N1) = ハートの1番 + スペードの1番

A香港型(H3N2) = ハートの3番 + スペードの2番

注:ハート → ヘマグルチニン といわれる物質で、H1〜H15まである。
  スペード → ノイラミニダーゼといわれる物質で、N1〜N 9まである。

            
今年、横浜で別の札を掲げた新型ウイルスが登場。さてその札は
A横浜型(H1N2)  = ハートの1番 + スペードの2番

これはAソ連型とA香港型をじっと見ればおわかりのとおり、それらのハイブリッド版ですから、新型とはいえ、Aソ連型とA香港型の両者に有効な現在のワクチンで、対応できるのではないかと期待されています。

5年前に香港でまったくのニューフェイスが登場しましたが、その札は、
Aトリ型(H5N1)  = ハートの5番 + スペードの1番

ハートの5番という札を持ったウイルスは、それ以前には人に病気を起こしたことがないものです。HとNの組み合わせで分るとおり、理論上は135種類(=15x9)のA型インフルエンザが出現可能です。それぞれに有効なワクチンが完成するまで、新型には登場して欲しくないですね。
「こどもの病気の診かたと看かた(95)受験生とインフルエンザ」
インフルエンザにかかった場合、重症化しやすいのは6歳以下と65歳以上です。つまり人生の最初と最後が問題になります。さいきんは特効薬が登場したこともあり、小学生〜成人はこれまでよりも軽くて済むか、相当きつくても、お薬と点滴治療で軽快する場合がほとんどです。

ところが、本来は軽症で済むはずの年齢層の中で、特別な意味をもった年齢があります。それが高校受験、大学受験の生徒さんたち。毎年、本番の直前に高熱をだしてあわてるご家族が絶えません。インフルエンザ対策で一番確実なものは予防接種。受験生は必ず接種を受けてください。
【あとがき】2002年もいよいよ師走となりました。皆様も健康で新しい年を迎えられますように。

発行:(医)一木こどもクリニック (責任者 一木貞徳) 2002.12.03 :宗像市東郷394 TEL 0940-36-0880

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