くろ通信00-

一木こどもクリニック便り 西暦2002年4月(通算63号)

かつて、中華人民共和国奥地のタクラマカン砂漠を飛行機で縦断したことがあります。上空から見ると、風でできた幾何学的な砂の模様(風紋)が、無数の帆立貝が折り重なっているようで見事な景観でした。あの黄色い砂が強風で舞い上がると、乱開発で防砂林が少なくなっているので砂嵐となり、さらに地球温暖化により偏西風も強いため、上空の気流に乗って黄砂となり、繰り返し極東地域を襲うことになります。黄砂の被害を減らすには、砂漠の緑化推進と地球の温暖化防止が欠かせないわけですね。
「こどもの病気の診かたと看かた(73)予防接種の仕方について」
子ども ウワーン、痛いよう、イヤダ、いやだ、注射せんと?
母親 そんなことせんよ、なーんも痛いことない。
医師 ムニャムニャ(われ関せず)
看護婦 お母さん、しっかり抱いて下さいね(仏さま風の笑顔)
子ども ほんとに注射せん?痛くなあい?
母親 あんた何言いようと?だあれも痛いことなんかせんがね。
子ども せんせい、ほんとに注射せんと?痛くないと?
医師 ハラホロヘレ(ハザマ○○ペイさん風)
ガサガサゴソゴソ(こっそり注射器の準備)
次の瞬間……。
子ども イッターイ!イータカッター。
母親 ほら、終わったろ、痛くなかったろ、あっと言う間やったね。
医師 ハーイ、とってもえらかったね、終わりましたよ。
看護婦 良くがんばったね、お利口でしたあ。
子ども ウワーン!(もう誰も信じないという顔つき)
母親 しつこいねえ、いつまでも泣かんと、痛くないっちゃけん。
医師 (今のはちょっと痛かったかも…)ハーイ、ではまたね。
以上が当院での予防接種における、一般的状況ですが…。
4人の会話の中で、正直な態度をとっているのは、子どもさんだけ。
他は暗黙の了解のもと、だましの連携プレーをやっているわけですね。

子どもさんへの予防接種では、針の操作という危険な作業を、正確に、手短に、かつ安全に実行するために、非常に神経を使います。


途中で大きく動かれると大変危険です。
お母さんお父さん、心を鬼にしてしっかりお子さんを抱いてくださいね。
今日も安全第一の接種を心がけて、私もポーカーフェイスを続けております
「こどもの病気の診かたと看かた(74)そろそろ夏かぜの季節」
急に蒸し暑くなってきました。そろそろ夏かぜの季節かなと予想したら、やはり代表選手の「手足口病」や「ヘルパンギーナ」が登場。

これらの病気をひっくるめて「夏かぜ」とか「夏かぜ症候群」と呼んでいますが、べつに夏だけ流行るのではありません。しかし原因のエンテロウイルスは、湿気が多く蒸し暑い季節に活動が活発になります。

「夏かぜ」は成人でもかかりますが、とくに抵抗力の弱い園児と幼児が多くかかります。とくに予防法はなく、手洗いの励行くらい。小さいこどもの多く集まる場所では、床や手すりなどの清拭も必要です。

4年前に宗像周辺で流行した夏かぜでは、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)という合併症がかなり見られて、入院患者さんが続出。今年の夏かぜは、もっと単純なタイプであるといいですね。
「こどもの病気の診かたと看かた(75)精神の病の本について」
角川書店から「精神科医はいらない」という本がでたので早速読みました。著者の下田治美さん自身も「うつ病」の経験がある方です。

うつ病という精神病は、まだ本当の原因は不明ですが、脳の中で大切な役割をはたしている化学物質のいくつかが、どうやらうまく仕事をしてくれないために起こるようです。

うつ病にかかると、あたかも巨大な雨雲が空を覆うように、ネガティブな感情が、患者さんの全体をすっぽりと覆ってしまいます。
雨雲というのは塊で、大きさや厚さや広さはさまざまですね。
突然に太陽が顔をだすようにうつから躁(そう)に変わることもあります。

精神病なんて「自分だけは絶対にかからないだろう」と考えるのは間違い。
いつかかるかも知れないと考えたほうが正解に近いでしょう。
稀ではなくありふれた病気ですし、確実な予防法もありません。
しかし適切な薬物療法でうまく状態をコントロールすることは可能です。

あとがき4月初旬から父が福岡市内の病院に入院しており、看病のため診療時間以外はほとんど不在状態を余儀なくされております。ご迷惑をおかけしますがご了解ください。

発行:(医)一木こどもクリニック (責任者 一木貞徳) 2002.4.30:宗像市大字東郷394 TEL 0940-36-0880

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