くろ通信00-6

一木こどもクリニック便り 西暦2002年6月(通算66号)

サッカーワールドカップ、まさかニッポンが一次リーグ負けなしの一位で決勝トーナメント進出とは予想できませんでした。あっぱれニッポン、がんばれニッポン。
「こどもの病気の診かたと看かた(79)解熱剤の使用法について」
解熱剤(げねつざい)の目的は、熱を下げることではなく、熱を下げることによって、「食べる・眠る・遊ぶ・ご機嫌」の質を確保することです。

「食べる・眠る・遊ぶ・ご機嫌」をなるべく良い状態にキープすることで、病気とたたかっている期間を、より快適に過ごすことができます。どんな手段を講じても、水分やカロリーを摂らせ、眠らせねばなりません。解熱剤は、そういう手段のうちの一つと考えましょう。

小児の正常体温の上限は37.4℃で、37.5℃からを発熱と定義しています。それより1℃高い38.5℃が、解熱剤使用の目安とされています。
(注:最近、米国の小児科教科書は37.8℃以上を発熱と定義しています)

つまり、38.5℃というのは、あくまで目安であって、それを超えていても、本人が元気にしている場合は使わなくてもよいし、寝つきや食欲が悪いのであれば、38℃しかなくても使用する価値はあります。

体温の絶対値に忠実にしたがって、使用するかどうかを決めるのではな
く、「食べる・眠る・遊ぶ・ご機嫌」の良しあしで決めるのが正解です。
「こどもの病気の診かたと看かた(80)日本脳炎と予防接種」
日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカは、おもに水田で繁殖するため、アジアの米作地帯(モンスーン気候帯)が流行地域になります。日本脳炎ウイルスは、夏の間だけ豚の血液中にいます(理由は不明)。

豚を吸血した蚊に移ったウイルスは、その蚊がヒトを吸血したときに、ヒトに感染します。ウイルスに感染したヒトのうち、300人から3.000人に一人のわりあいで脳炎になりますが、ほとんどは発病しません。

脳炎が発症した時点では、すでに患者さんの血液中にウイルスは存在しないので患者さんから次の患者さんが発生することはありません。

WHO(世界保健機関)の推計では、世界中で、毎年、約43.000人が発病し、11.000人が死亡、9.000人は助かる後遺症を残しているとのこと。
つまり完全に回復するのは、23.000人(53%)となります。

最近の日本人で、生涯一度も、アジアのいずれかの国に観光や仕事で出かけないという人はむしろ少数派でしょう。日本脳炎は、日本国内ではまれな病気ですが、ひとたび発病すれば悲惨な結果になる可能性が非常に高い病気であるがゆえに、今でもまだ予防接種の必要な病気なのです。

「こどもの病気の診かたと看かた(81)夏かぜについて」
夏かぜ病原体(エンテロウイルス属)には、4つのグループがあります。
1)ポリオウイルス(心筋炎、脊髄炎など)
2)コクサッキーウイルス(手足口病、ヘルパンギーナ、胸痛症、無菌
性髄膜炎など)
3)エコーウイルス(無菌性髄膜炎など)
4)エンテロウイルス(手足口病、無菌性髄膜炎、脳炎など)

これらの外に、@〜Cとも、共通して下痢などの消化器症状を示します。
いろいろな発疹も見られます。夏かぜは、とても多彩な病気ですね。



「特別付録:ワールドカップのぼせファミリーの会話」

次男:父ちゃん、カメルーンってどこにある国?
父親:父ちゃんじゃない、今日からトッティと呼んでくれ。
次男:じゃあぼくも、ジダンって呼んでよ。ジナンじゃいやだ。
ジジ:はっきり言わせてもらう。ジーコとは、誰あろうワシのことじゃ。
ババ:バティ(ストユータ)は、私。バーバじゃありません。ナンマイダ。
母親:じゃあ、私は何よ、わが家の司令塔よ。
全員:もちろん、オカちゃん。ヒエー懐かしいー。
母親:(あきれ返っトル) シエー!
某市のえらい方:合併後の新しい市名は「無中田市」で決まり。市の中心
はやっぱり稲本…なーんちゃって、ワはは。(注:宗像市稲元は地名)
全員:赤札一発退場!

あとがき日本代表チームが決勝トーナメント進出を決めて、いよいよワールドカップも
未体験ゾーンに突入。ボンクラージュ、ジャポン!ボンクラージュ、ムッシュートルシエ!

発行:(医)一木こどもクリニック (責任者 一木貞徳) 2002.6.15:宗像市大字東郷394 TEL 0940-36-0880

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