−抜けた話−
対馬の浅茅(あそう)湾に一泊2日で釣りにでかけました。板付空港までの往復は同僚のK医師の車に同乗。
クーラー満タンの釣果に喜色満面で帰路についたものの、博多駅周辺の長い坂道で大渋滞に会いました。

坂道に突っ込んだところで信号待ちとなり、「エイヤッ!」とばかりにサイドブレーキを引いた途端に、な、なんと、サイドブレーキがスポッと根元から抜けてしまいました。
抜けたブレーキを手に、私の顔を覗き込むK医師…。
私: ど、どうする、あ、足ゆるめないでよ。あーあ、後の車ったら、
  こんな時にピタッとくっつけてさ、もっと離れてよね!

K: アハハ、抜けたものは仕様が無い、まあ何とかなるわね…。
私: あっ、ちょうど青になった、発進だ、あっ、くそ、全然進まん、こんな渋滞初めてや…、あっ、ぶつかる、あっ下がるな!

助手席で騒ぐ私を横目に、K医師は迷惑そうな顔。またも坂道途中の信号待ち停車。ためいき、ぼやきの私。実は当時、私は自動車免許取りたてでしたから、すっかりパニックに陥ってしまったのです。

その後スッタモンダの中で、冷静なハンドルさばきとフットワークを披露してくれ、何とか渋滞を抜け出して無事にK医師のマンションに帰りつくことができたのですが、私の方は冷や汗でクーラーの中の魚より冷たい感じ。整備不良車はもうこりごりだと思いました。

それ以後、K医師の車に乗ったことはありません。
今でもその記憶はトラウマとなって、運転中にときどきフラッシュバックします。抜けたのがサイドブレーキで良かった。あれがステアだったら…アギャア!そうして突然に目が醒めてしまうのです。
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