種の起源
 友人と博多区中洲のスナックに行った時のこと。カウンターに、知り合いの手品師が一人で飲んでいました。実は皮膚科医のドクターXで、全米コンテストで優勝経験もあるマジックも超一流のプロ。宴会などのステージでは、高額ギャラで引手あまただったのです。
 その鮮やかなカードさばきの腕前をそのスジの方に見初められて、「盃を受けんかね?」とヘッドハンティングされそうになり、丁重にお断りしたこともあったそうです。
 さて、そのドクターX氏に、居合わせた客がわれもわれもと手品をお願いしました。ところがドクターは、とても優しい性格のようで、あっと驚く秘技を次々と繰り出し、満座を楽しませてくれたのです。華麗なる余興が終ったとき、ひとりのご老体が言いました。
「フォッホッホ、お若いの、見事じゃ。しかしもちろんタネか仕掛けがありましょうな。」

すると、ドクターXは電光石火、そのご老体の股間を指さして答えました。

(私には、むんずとつかむような仕種に見えたのですが)



「種はそこにあります。」


ご老体はうろたえました。


「な、なんと、ここにタネが…ありますとな。」


居合わせた他の客は、一斉にご老体の股間を見ました。

なるほど…。

ドクターXは、居合わせた客の心と視線を瞬時に鷲づかみしてしまったようです。
手品師として超一流の証なのでしょう。
 今頃、あのご老体は、まだ夜の中洲をタネも仕掛けもあられもない格好で徘徊しているのでしょうか?それとも…?
 すでに20年も前のお話ですが…。



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